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果物|恵まれた気候が慈しむたわわな実り

収穫時期:8月〜1月

西洋なし|ラ・フランスが火を付けた、「西洋なし」ブーム。

動画での紹介はこちら西洋なし56k西洋なし256k

西洋なし|「みだぐなす」から女王様になったラ・フランス

ラ・フランス

★主な産地★

天童市・東根市・上山市・高畠町・大江町・山形市・南陽市・寒河江市・中山町・朝日町・ほか

★主な品種と収穫時期★

日本なしの収穫時期

「みだぐなす」から
女王様になったラ・フランス

 「みだぐなす」とは「見たくなし」、つまり「みばえが悪くかっこ悪いもの」という意味の方言だ。こんなあだ名をつけられていたラ・フランスなのに、その驚くほど上品でとろけるようなおいしさが知れわたるや、一躍フルーツ界の女王となった。いま、生産量では山形県が全国の約80%を占め、「果物王国やまがた」の中でも、まさに女王様。そのシンデレラストーリーをさぐってみよう。
 そもそも西洋なしは16世紀頃からドイツ、イギリスで栽培されはじめ、18世紀のイギリスで代表的品種、バートレットが発見される。これが明治初期、日本に入った。山形県では、古くからのなし産地である東置賜郡屋代村(現在の高畠町)で明治8年に栽培を始めたとされる。
 しかし当時は、実ったはずの果実を食べても、石のように固くてまずい。「こんなもの食べられないと捨てておいた。それが時間がたつと黄ばんで香りがしてきたので、拾って食べたらおいしかった。収穫後に熟させて食べることに初めて気づいた」という笑えない記録がある。
 一方で、屋代村相森の古文書には、「明治42年、皇太子(後の大正天皇)行啓の折に日本なしを献上したところ大いに喜ばれ、金一封とバートレットの苗を賜わった。これが本県の西洋なしの歴史のはじまり」という内容もある。あれこれ推察すると、明治初期に確かに苗木はあったが、皇太子行啓をきっかけに、山形での西洋なしづくりの機運が一気に高まったと考えられそうだ。
 その後バートレットは缶詰加工用として盛んに作られる。このバートレット畑に細々と植えられていたのが、当時は受粉樹の身だったラ・フランスだ。ふつう果樹は単一品種だけでは実がなりにくい。そこで違う品種を受粉樹として畑に入れ、実を結ぶ確率を高めるという栽培手法をとる。

栽培に手間がかかるため、初めは受粉樹で導入

 ラ・フランスは1864年、フランスのクロード・ブランシュ氏が発見。そのおいしさに「わが国を代表するにふさわしい果物である!」と賛美したことから「ラ・フランス」と名前がついたという。
 日本には明治36年に、山形県には大正初期に入った。しかし生まれついての「みだぐなす」と、栽培に手間がかかることから、受粉樹という日陰の立場に甘んじていた。
 しかし、昭和40年代頃から缶詰よりも生のフルーツへと需要が移ると、生食用の決め手としてラ・フランスの真のおいしさが注目されるようになった。
 ラ・フランスは、別名「バター・ペア」。特有の芳香と、果汁がしたたるち密な肉質は、まさに西洋なしの最高峰。当初は高価な果物としてわずかに出回っていたが、グルメブームの到来で、広く一般的に入手できるようになった。
 ラ・フランスは西洋なしの中で一番開花が早いが、実がなるまでに時間がかかる。生育期間が長ければその分手間がかかるし、病害虫や台風の影響も受けやすい。故郷のフランスで作られなくなったのもこのためだ。
 有機質を入れる土作りから始まり、枝のせん定、病害虫防除、つぼみの段階での数の整理・実の数の整理を重ねて大切に育て上げる。官民一体の研究努力が実り、ようやく生産体制が安定したのが昭和60年頃。これ以降は、栽培面積、収量ともグンと伸びている。

ラ・フランスは当初、生産の主役であったバートレットの結実を助ける受粉樹として導入された。見かけの悪さもあって裏方に甘んじていたが、その実、大変に美味であることは栽培者の間で知られていた。

ラ・フランスは当初、生産の主役であったバートレットの結実を助ける受粉樹として導入された。見かけの悪さもあって裏方に甘んじていたが、その実、大変に美味であることは栽培者の間で知られていた。

出番待ちの、丁寧に袋掛けされたラ・フランス。

出番待ちの、丁寧に袋掛けされたラ・フランス。

シルバーベルはかなりの大玉種で、味も濃厚。X'mas時期が食べ頃になる。

シルバーベルはかなりの大玉種で、味も濃厚。X'mas時期が食べ頃になる。

バラード|ラ・フランスよりも出荷が早い大玉の有望品種。

ラ・フランスよりも出荷が早い大玉の有望品種。(バラード)

とろける甘さを作る「追熟」、
見極めたい「食べ頃」

 収穫してから熟させる「追熟」のメカニズムはこうだ。もぎたてのラ・フランスは2%ほどのデンプンを含み、クエン酸などの酸も多い。これが追熟するうちにデンプンが果糖やしょ糖、ブドウ糖などの糖分に分解され、ビタミンBやCも多くなる。また果肉中のペクチンも水溶性のペクチンに変わるため、とろりとしたなめらかな肉質になってくる。追熟の期間は常温で2〜3週間。食べ頃は、軸の周囲に盛り上がっている「肩」と呼ばれる部分を指で押してみて、耳たぶぐらいの柔らかさだったらOK。ただ果皮の色はほとんど変化がないので注意しよう。もちろん、店先の商品の熟れ具合を指で押して調べるのはマナー違反だ。
 「食べ頃」を出荷ケースごと均一にするのに役立っているのが、「予冷」の方法だ。収穫してすぐ摂氏2〜5度の低温貯蔵庫に入れ、10日間ほど呼吸作用を抑制する。そして常温に戻すと、ラ・フランスは一斉に呼吸してデンプンを糖分に変え、約2週間後が食べ頃になる。
 山形県の試験場では、より育てやすく、味も品質もよい西洋なしの新品種の開発を推進。中でも、ラ・フランスとバートレットをかけ合わせて完成した「バラード」は最有望株。450g前後という大玉で、主な品種の中でも甘さはナンバーワン。またやはりラ・フランスを親とするシルバーベルも晩生の大玉品種としてすでに市場をにぎわしている。
 さて、「みだぐなす」から女王様へ、めくるめく出世物語も終幕。クリーミーな果肉をほおばる。口の中にさわやかな甘みとほどよい酸味が広がり、それはもう夢見ごこちのおいしさ。そのとろけるような味と香りは、食べた人を必ず女王様気分にしてくれよう。

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