メロン|収穫時期:6月〜10月
砂丘、日照、地下水
恵まれた環境で育つ「メロン」
露地栽培のネットメロンで
全国的な評価を獲得
メロンが日本に入ったのは明治初期でアメリカから伝わったと言われる。ただ定着したのは、その後ヨーロッパから導入した温室栽培メロンで、手間のかかる高級アールス系メロンだ。近年は、露地で手軽にできるネットメロンにも、良質な品種が登場し人気が高い。
庄内地域のメロン栽培は、強い風から飛砂を守る防砂林に囲まれた砂丘地に、1918年から植えられた記録が残る。本格的な栽培は昭和初期からで、カリフォルニアの露地栽培を手本とし順調に栽培を増やしたが、戦時下に入り、栽培中断を余儀なくされた。
戦後は、地元で育種した新しい品種「ライフ」を栽培。その後1962年に「プリンスメロン」が発表されると、さっそく庄内でも導入することになる。
このプリンスメロンの味が全国で評判となり、昭和40年代初めにメロンの産地としての地位を固めた。この後、昭和50年代になるとアールス系メロンと交配した露地ネット系メロンの新品種がどんどん登場。そのなかの一つ「アンデスメロン」は、京浜市場で高い評価を得て、永く主流を占めることになった。
また1998年にデビューした、オリジナルブランドで青肉の「鶴姫」と赤肉の「鶴姫レッド」も人気が定着。さらに赤肉では甘くて果汁たっぷりの「夏のクインシー」も評価が高い。
温室のアールスメロンも含めた
安定生産体制
山形県のメロンの生産量は、全国第4位で、夏場のメロン市場を山形県が支えている。
露地ネット系メロンのハウスによる促成栽培や抑制栽培も行われ、さらに高級アールス系メロンのハウス栽培もある。特にアールス系のオリジナル品種「山形メルティ」は品質の良さが注目され期待が高い。こうして山形県では、露地ネット系メロンと高級メロンの両方の品目を、ハウスも利用しながらの安定生産体制で出荷している。
庄内砂丘のメロン産地に向かうと、途中いくつもの大きな酒蔵を見かける。蔵元が居並ぶ大山地区だ。聞けばこの一帯には良質な地下水があり、これが銘酒の源になるという。そして隣接する砂丘地でメロンが育てられているというから、なんとも贅沢な話である。
「水はけの良い砂丘地はメロンには好都合。水分が多いと、メロンが吸収して糖度が上がらなくなってしまうのです。そして日中の強い日差しと、夜の涼しさ、そして最高の地下水。いくつもの条件が合致したわけです」と生産者は語っている。
ところでメロンの表面のネット(網目)は、実が急に生長するためにできる、実割れのヒビが癒合したもの。「丸くきれいに太っていけば、ネットも細かく全体に均一に入る。これがいいメロンの見分け方。」とのことだ。
* DATA *
主な産地
酒田市・鶴岡市・遊佐町・山形市・天童市・ほか